キメラは黄昏に眠る

またもプログレネタである。

U.K.のIn the dead of nightを聞くと、70年代プログレの終焉を
感じざるを得ない。※この時期(1978年前後)にプログレッシブロック
が終わったわけではなくて、個人的な気分の問題。
特に、上述の曲が収められているファーストアルバムは、裏Redと
呼んでもいいくらいである。但し、King CrimsonのRedと決定的に
異なるのは、アルバム後半に収められている曲Nevermoreのジャズ
ロック然とした異物感であり、CrimsonがStarlessでみせたような、
プログレはこの曲で本当に終わってしまうんだ、というような寂寥
感に満ちた展開を排している。(これに関しては異論があるとおもうが)
Nevermoreから読み取れるのは、ジャズロックもしくはジャズへと回帰
したいというメンバーの密かな表明である。事実、ドラムスのBill
Brufordは、このアルバム後、U.K.から脱退し、ジャズロックへと歩み
を進めた。一方、ボーカル/ベースのJohn WettonはU.K.後、Asiaを結成し
プログレのフィールドにとどまる。


プログレはこのようなギャップを内包するキメラ的な音楽であったのだが、
ギャップを有するが故に短命であったとも思う。
とはいえ、この短命なキメラが産み落とした70年代プログレは、異種
交配が進む今日の音楽と対比してもその先鋭さを失っていない。